Engelbert Humperdinck オペラ「ヘンゼルとグレーテル」
日本語訳詞 by桂木農

※一部をサンプルとして掲載します。


第一幕(場面は家の中。)
第1場
(ヘンゼルは箒を作っている。グレーテルは靴下を繕っている。)

【ガチョウの民謡の二重唱】
グレーテル なぜにガチョウはいつでも裸足でペタペタ歩くの。
      羽根があっても金がないのだから裸足でいるのか・・・
ヘンゼル  裸よりいいか。
グレーテル ・・・も!
ヘンゼル  おやつが無いのは辛いよ。お小遣いも無いほど貧乏。
      箒はいくらでもあるけど食べられるわけじゃない・・・
グレーテル 味見してみて。
ヘンゼル  ・・・もん。

ヘンゼル  ああ、母さんはまだ帰ってこない。
グレーテル もうお腹が空っぽだわ。
ヘンゼル  毎日毎日、干涸らびたパンだけさ。
グレーテル だけど、いつも父さんが歌ってくれるでしょう。
      『苦しい時も神様は見てる』。
ヘンゼル  父さんの言ってる通りさ。でも僕は腹ぺこさ。
      ああ、グレーテル、卵も肉も長いこと食べてない。
      どんな香りか、どんな味か忘れてしまったほどさ。
      ああ、グレーテル、ちょっと・・・
グレーテル もう、いい加減にして!
      愚痴ばかり言っていないで。
      へそ曲がりで不機嫌なしかめっ面なんて沢山だわ!

【根性曲がりの二重唱】

グレーテル 泣き虫も、苦虫も、頭の外へ、お家の外へ、
      箒で掃いて追い出しちゃって。
      さっささっさ掃いて出せ。泣き虫、苦虫、疳の虫、

      ┏外へ外へ掃いて出せ。 泣き虫も、 苦虫も
ヘンゼル  ┗        追い出せ。 追っ払え。心配→

グレーテル ┏ 頭 の外へおうちのそとへ、箒で掃いて追い出し→
ヘンゼル  ┗→ごとは外へ放って、そっちの方へ掃いて出すんだ。

グレーテル ┏→ちゃって。さっささっさ掃いて出せ。
ヘンゼル  ┗ さっさ  さっささっさ掃いて出せ。

グレーテル ┏泣き虫、苦虫、疳の虫、外へ外へ掃いて出せ。
ヘンゼル  ┗泣き虫、苦虫、疳の虫、 外へ外へ 出 せ。

グレーテル それじゃあ兄さんに一つ、とても良いことを教えるわね。

≫≫≫≫≫ 中略 ≫≫≫≫≫

【踊りの二重唱】

グレーテル 踊り踊るの。手に手をとって、
      あっちへポーン、こっちへポーン、くるくる回るの。
ヘンゼル  とっても無理だよ。やったこと無いよ。
      見せてくれたら真似してみるさ。
グレーテル 右足でタンタンタン、左手でパンパンパン、
      あっちへポーン、こっちへポーン、くるくる回るの。
ヘンゼル  右足でタンタンタン、左手でパンパンパン、
      あっちへポーン、こっちへポーン。や、出来たぞ!
グレーテル とっても上手ね。やってみるものね。
      それではヘンゼルさん、続きを見てて。
      頭でクックック、指先でチッチッチ、
      あっちへポーン、こっちへポーン、くるくる回るの。
ヘンゼル  頭でクックック、指先でチッチッチ、
      あっちへポーン、こっちへポーン。や、出来たぞ!
グレーテル 最後は私と一緒に踊るの。
      手と手を絡めて、かかとを合わせて、
      ┏さあーーーーーーーーーーーーー。
ヘンゼル  ┗  いつも二人でダンスを踊れたら

グレーテル ┏嫌なことは忘れるわ。愉快だわ。トララ〜〜
ヘンゼル  ┗ なみだも忘れるさ。愉快だな。

グレーテル クルクル回れ回れ、ふらふらになるまで。
      おいでよ、おいでよ、可愛い坊や。
ヘンゼル  嫌だよ、嫌だよ。子供じゃないよ。
      女の子となんて遊ばないよ。
グレーテル そんなこと言わないで踊りましょう。
      ┏トララ〜〜。くるくる回れ回れ、ふらふらになるまで。
ヘンゼル  ┗        トララ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ラ。

      判ってる? グレーテル、靴下に穴が。
グレーテル 判っててからかってるイジワル兄さん。
      乱暴者となんて遊ばないわ。
ヘンゼル  そんなこと言わないで踊ってくれよ。

グレーテル ┏トララ〜〜。くるくる回れ回れ、ふらふらになるまで。
ヘンゼル  ┗        トララ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ラ。

グレーテル ┏さあ、愉快なダンスを踊りましょう。
ヘンゼル  ┗さあ、愉快なダンスを踊ろう よ 。

グレーテル ┏靴下が切れても踊ってたいの。
ヘンゼル  ┗靴底が切れても踊ってたいよ。

グレーテル ┏    くるくる回れ回れ。   くるくる回れ回れ。
ヘンゼル  ┗トララ〜〜〜〜〜〜〜〜。トララ〜〜〜〜〜〜〜〜。

グレーテル ┏トララ〜〜!
ヘンゼル  ┗トララ〜〜!

≫≫≫≫≫ 中略 ≫≫≫≫≫

父親    それじゃあ、子供らはどこだい?
母親    森へ行かせたの。
父親    え、何だって! 森の奥へ? (急に箒を持ってくる)
母親    あなた、箒をどうするの?
父親    まっ暗な森のまん中、迷子になるかも。
母親    まさか。
父親    あっちには恐ろしい魔女が住んでいるのだぞ。
母親    なんだって、魔女が?
父親    お菓子の魔女!
母親    お菓子の魔女! で、その箒はなぜ?
父親    箒、箒に魔女はまたがって、夜空を、夜空を飛ぶんだ!

【魔女の伝説の歌】

父親    深い森のまん中、悪い魔女がいるんだぞ。
      真夜中に飛んできて、災いをまき散らすよ。
      東へピュウッ! 西へピュウッ! お月様も超えて、
      やってくる!やってくる! お菓子の魔女。
母親    恐いわ! でもどうして?
父親    甘いお菓子の家はポリポリ、パリパリ、カリカリさ。
      腹が減った哀れな子供は騙されるよ。
      おびき寄せ、捕まえて、可愛い子供らを、
      魔法のカマドの力でこんがりと焼くのだと。
      出てくる! 出てくる! お菓子になって。

≫≫≫≫≫ 以下略



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